皆さんは「全国保育士会」と言う任意団体をご存知でしょうか。授業や勉強の中で「全国保育士会倫理綱領」を始め勉強した方も多いかと思います。
簡単にご説明しますと、全国保育士会は1956年、保育士（保母）が集まって初めて結成された団体です。とはいえ現在は完全に独立した団体というわけではなく、全国社会福祉協議会の中の社会福祉施設・在宅事業等組織の中の一つに組み込まれており、役員の方の名義も全国社会福祉協議会の児童福祉部という形になっております。

もうひとつ保育関係に属する大きな団体、全国保育士協議会も全国保育士会と同じ立ち位置に組み込まれています。では全国保育士協議会と全国保育士会では何が違うのかを簡単にご説明しますと、実は活動内容についてはほとんど差異がございません。どちらも保育に対する支援をする団体と考えて間違いないでしょう。

ひとつ大きな違いでいうと、全国保育協議会は「保育施設」が主となった団体であり、事実全国の認可保育園の93パーセントが加入しています。具体的にどのような活動をしているのかというと、例として保育施設の予算確保や国からの財政支援が適切な対応をとっているかどうかの監視、及びその対処などを行っています。それに対して全国保育士会はまさしく「保育士」にスポットライトをあてた団体だと言えます。

全国保育士会が創立された背景には、当時保育士の待遇はそれ程良くはなく、保育の質を高めるためにも処遇の改善や研究する場を作り出したい、という思いがありました。現在でもその目的は変わらず、保育の質の上昇、子育てしやすい環境の創造、及び地域社会への発信や、様々な研究とその実践が活動の柱となっております。

実際結成以来社会的地位や処遇の改善を目指し様々な運動を続けており、今の国家公務員に準ずる資格という立ち位置はこの運動の成果とも言えるでしょう。
また、全国保育士会は「全国保育士会倫理綱領」というものを掲げており、会員になる保育士はこの綱領を元に保育士としての自覚を持ち、活動していくことになります。教科書や問題集にもよく出てくる文言ですので、みなさん一度は必ず目にしているでしょう。

全国保育士会の活動は以下の約１０個に分けられています。
・『保育士会だより』の発行（年６回）
・主任保育士特別講座の実施
・「保育スーパーバイザー」養成研修会の実施
・全国保育士会研修会の開催
・全国保育士会研究会の開催
・全国保育士会研究紀要の刊行
・食育活動に関する研究の実施
・予算・制度対策の推進
・永年保育士（20年以上保育に従事）への感謝状を贈呈
・出版物の発刊

言葉だけで見るとわかりづらいかも知れませんが、例えば保育士の処遇改善の必要性を国会議員に対して説いたり、または公募で保育にかかわるノウハウなど集めたり、研修会を企画・実施したりと保育にかかわることについて幅広く活動しています。

「全国保育士会」って、知ってはいるけど自分が入っているか解らない。という保育士もたくさんいるかと思います。ですが、働いている地域の保育協議会などに入っているという方は殆どすべての方が当てはまるのでは無いでしょうか。都市や団体によってはこの保育協議会に所属することで全国保育士会にも加入することが可能です。その場合、会費のうち年３５０円が全国保育士会の会費という形になります。

現在、保育士をめぐる環境はめまぐるしく変わってきています。もちろんとても良い変化もあれば、現場の声が届いてないのでは…というようなものも中にはあります。情報を集め、読み取るのは日々働いている中では難しいかと思いますが、そういう時こそ全国保育士会が発行する保育士だよりを参考にしたり、全国保育士会の動きを把握したりしておくと良いかも知れません。
また会員になると全国保育士会が企画する研修会に特別価格で参加も出来ますので、是非積極的に参加してみてください。

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