入職前に、不安を感じている方が多いのは事実です。H30年、保育士試験合格者に行った厚生労働省の調査によると、これから保育士として働く予定の方で、働くのが「不安」もしくは「やや不安」の方は、全体の約65％でした。
さらに、これまでの保育経験の有無で見てみると、未経験者の方がより多くの方が不安を感じています。

＜不安を感じる人の割合＞
保育経験あり：55.8％
保育経験なし：73.9％
就業経験なし：84.5％

経験したことのないものに不安を抱くのはごく普通のことです。不安を感じる具体的な理由については、次のような回答がありました。

＜働くことに不安を感じる理由＞


「労働条件・労働環境」や「経験不足」などが多いですね。まだ働いたことのない場所で、自分がうまくやれるだろうかという不安を抱えていることが分かります。
しかし別の視点で見ると、経験によって解消できる不安がほとんどです。少しずつ現場経験を積み、自信を付けていくことが大切と言えるでしょう。

＜学ぶ必要があると思う知識や技術＞


アンケートの結果をみると、障害児の関わり方や最新の保育事情を学びたい方が多いようですね。
上位の回答にある内容は、勉強に積極的な施設で、実際に研修や勉強会のテーマでよく取り上げられているテーマです。
さまざまな子どもや家庭事情に対応するために、大事なスキルとなるでしょう。

すでに現場で働いている先輩保育士や保護者は、これから働く保育士にどのようなことを求めているのでしょうか。例えば、次のようなことがあげられます。

・保育士同士のコミュニケーションが取れる。
・子どもの細かな変化に気付ける。
・元気よく笑顔で接することができる。
・体力や自分の健康管理ができる。　など

保育の現場では、初めから難しすぎることを要求していないことがほとんど。
実は、それ以上に重要視しているのは元気に働く体力や健康管理、笑顔や挨拶などの基本的な社会性です。
なにより「保育が楽しい」と思える前向きな気持ちが大切と言えるでしょう。
活き活きと働く後輩の姿は、先輩や同僚の励みにもなります。背伸びをしすぎず、一つひとつのことを地道に身に付けていきましょう。

保護者との間で特に大切なのは、信頼関係を築くことです。そのためには、次のような安心感を積み重ねて行く必要があります。

１．子どもを安心して預けることができる。
怪我や事故のない様に、常日頃から気を配ることが求められます。保育園・幼稚園で起こった出来事やアクシデントなどの事柄は、報告を欠かさず行い、安心できるように心がけましょう。

２．子どもと親密なコミュニケーションを築くことができる。
保護者は、子どもと保育士の様子をよく見ています。保護者が安心して子どもを任せるためには、保育士と子どもの信頼関係も大切です。子どもたちの話や伝えたいことを敏感に察知し、関係性を深めていきましょう。

３．子どもの様子を共有できる。
子どもの相談がしやすいよう、話しやすい雰囲気作りを意識しましょう。保護者とコミュニケーションがスムーズに取れるようになると、保育園と家庭それぞれで子どもの様子を把握でき、普段の保育にも活かせます。

保育士の価値観や、入職した施設の教育目標や方針、理念など、目指すところは一人ひとり異なりますが、共通して大切なことは変わりません。
「思いやり」「気配り」「素直な心」は子どもに対してだけでなく、同僚や保護者にも心掛けていきましょう。

専門的な知識やスキルは時間をかけて、また経験を積みながら学んでいくものです。
働く前は、経験がない事や知識不足を不安に思う方も多いですが、不安になりすぎる必要はありません。思いやりや前向きさを大事にスタートできると、より素敵ですね。

どうしても不安が強い場合は、研修や勉強会を積極的に開いている保育園もあるので、そのような職場を探してみるのもおすすめですよ。

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