4歳児は、基本的な生活習慣が身についていく中で、相手の気持ちを想像したり思いやったりなどの社会性も芽生える時期です。自我や自主性が高まり「やってみよう」と意欲的になる姿が増えるでしょう。

自分以外の人や物をしっかりと区別し、比べることが出来るので競争心や意志がぶつかる姿も見られます。想像力が高まってきているので、相手の気持ちや考えを尊重し譲り合う経験を重ねていけるといいですね。

※4歳児クラスの子どもについての詳しい記事はこちら

保育園の年間計画案は、1年間を4期に分けねらいを作成するのが一般的です。それでは、年間計画案の具体例をいくつかご紹介します。

■年間目標
・基本的な生活習慣や日常生活に必要な挨拶を身に付け、自分でできることを少しずつ増やしていく。
・大人やお友だちと一緒に遊ぶ中で、コミュニケーションを重ねる。気持ちや状況に合った伝え方を覚えていく。
・身近な社会や四季の自然に興味を持ち、さまざまな発見や経験を繰り返す。
・全身のバランスを取る動きを楽しみ、健康な体を育む。

4期に分かれたねらいは、4月～3月までの大まかなねらいを作成します。それぞれで思い浮かぶ子どもの姿からねらいを立てていくとスムーズです。こちらでは、ねらいに向かっていくために、どのような環境が好ましいか、保育士の関わりなどもピックアップしてお伝えします。

1期（4月～5月）
■子どもの様子
・年中になった事を喜び、張り切って活動に向かう子どもがいる。
・新学期に不安な子どもは、保育士に寄り添われながら活動に向かう。
・生活の流れを掴み、食事や排泄、着脱など、自分で出来ることが増える。
・保育士やお友だちと会話が増えていく。

■ねらい
・遊具や道具の使い方を掴み、意識しながら遊ぶ。
・新しい環境に慣れ、好きな遊び繰り返しながら安定した気持ちで過ごす。
・保育士やお友だちとの会話の中で、自分の思いを伝えようとする。

■環境設定や保育士のかかわり
・新しい環境に適応しやすいよう、おもちゃや物の置き場所などを分かりやすく示す。
・個々のペースを大事にしながら、声を掛けたりスキンシップを取ったりして、安心できるよう促す。
・「入れて」「貸して」「一緒に遊ぼう」など、その場に合った言葉と関わりを知らせていく。

2期（6月～8月）
■子どもの様子
・夏ならではの遊びを楽しみ、ダイナミックな動きが見られる。汗をかくようになり、薄着で過ごす。
・数字や量、形などに興味を持つ。
・お友だちと一緒に遊ぶ様子が増える一方で、主張がぶつかり合う様子が増える。

■ねらい
・衣服の調節や水分補給、休憩を取ることの大切さを理解する。体調の異変に気付き、周りの大人に伝える。
・身近な物を通して数字や量の大小を掴んだり、形の違いに気付く。
・楽しさを共有したり、ぶつかり合う中で、自分と違う考えの人がいることに気がつく。

■環境設定や保育士のかかわり
・室温や湿度、小まめな水分補給、体調の変化などに気を配り、快適に過ごせるよう心がける。
・文字や数字、量、形の違いに気付きやすいよう、目で見て分かりやすい物や、実際に手に取る機会を作っていく。
・ぶつかり合いが起きたときは、お互いの気持ちを伝えあい、納得できる方法を一緒に考えていく。

3期（9月～12月）
■子どもの様子
・食事のマナー（座って食べる、器を持って食べる、道具を正しく使う）を身に着けている子どもが増える。
・年上のお友だちを真似たり、年下の子どものお世話をするなど、異年齢での関わりが見られる。
・簡単な目標（発表会の成功、全員で作る制作など）に向かって、一人ひとりが意欲的に取り組む。

■ねらい
・「お腹がすく」感覚を感じ、食事のマナーを守って楽しく食べる。自分の食べられる量を知る。
・異年齢の子どもと一緒に遊ぶ楽しさを感じる。
・1つの目標に向かってお友だちと一緒に達成する楽しさを感じる。「出来た」という達成感を味わう。

■環境設定や保育士のかかわり
・保育士が見本となるよう、楽しい雰囲気の中で正しい食事のマナーを見せていく。
・子ども同士の関わりを見守りながら、必要に応じて言葉や関わり方のコミュニケーションを補う。
・子どもたちが明確にイメージできるような具体的な目標を掲げ、達成感へと繋げていく。

4期（1月～3月）
■子どもの様子
・お友だちの気持ちを受け止めたり、耳を傾ける姿が見られるようになる。
・集団の中で静かに話を聞くことが上手になる。数個の指示を聞いて覚え、自分で行動できる。
・お友だちと一緒に楽器を音楽に合わせて鳴らすことを楽しむ。また、リズムに合わせて動いたり、振付のある動きをする。

■ねらい
・自分の気持ちを言葉で表現し、それを認めてもらいながら、お友だちの考えや良い部分にも気付いていく。
・保育士の声掛けに気持ちを向け、声掛けや次の活動の話を理解する。自分なりに考えながら行動する。
・お友だちと一緒に演奏することや、体を動かす楽しさを感じる。音楽や体の動きでの表現に自信を持つ。

■環境設定や保育士のかかわり
・自分の考えや気持ちを表現しやすいよう、言葉や態度で感じ取った気持ちを十分に受け止めていく。
・子どもの意識をひきつけやすいような声のトーンで話しかけ、見て分かりやすい絵カードや写真、数字などを使って伝える。
・出来たことは全体の中で具体的に褒め、自信に繋げていく。好きな遊びや頑張っていることは継続して活動に組み込む。

4歳児クラスの子どもは自我を主張したい気持ちと、芽生え始めた社会性との間で葛藤が見られる時期です。子ども同士のトラブルはすべて大人が解決するのではなく、話し合いながら一緒に解決までの道筋を付けることを大切にしましょう。

全身の運動能力が高まっているので、「知りたい」「やってみたい」という知的好奇心を自分からどんどん満たしていきます。危険な遊び方にならないようよく見守りながら、色々な動きで遊べる活動を存分に用意して見てくださいね！

年間計画案を立てる際は、次のような方法もおすすめです。

・前年の指導計画案やテンプレートを確認してみる。
・書きやすい部分から少しずつ取り掛かる。
・季節の特徴や、行事も取り入れた内容を加える。

1年先までの指導計画を作成するのは、新卒の保育士や転職したばかりの頃は時間が掛かる業務です。しかし、保育園の多くが同じ形式で毎年行っているので、一度流れと書き方のポイントを掴んでしまえば、少しずつコツを覚えていきます。保育園の方針や形式によって書き方は少しずつ異なりますので、不安に感じる部分は先輩や同僚に相談してみてくださいね！

また、ICTシステムを導入している保育園では、ある程度テンプレート化されているので業務負担を軽減できます。転職先を探す際は、ICTシステムについての視点を持って調べてみるのもおすすめです。自分なりの方法や保育園の方針、ICTシステムなどを取り入れながら、納得のいく年間指導案を目指しましょう。

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