保育園の園長には、特別な資格は必要ありません。ただし、公立と私立では、園長までの道のりが異なる面があります。 公立保育園の場合は、保育士の経験年数と昇格試験が必要になります。対して、私立保育園の場合は、保育士資格は必須ではないため、誰でも園長になれるとも言えます。とはいえ、園長は保育園の最高責任者です。やはり保育に関する知識と経験が豊富であることが望ましいででしょう。

●公立保育園の園長になる条件
公立保育園の保育士は地方公務員です。公立の保育士になるためには、保育士資格の取得だけでなく、公務員試験に合格して、正規職員保育士として採用される必要があります。

公立保育園の園長になるためには、大体10年以上の経験年数が目安となります。その後、園長への昇格試験を受けて、自治体から承認を受けて昇進するケースが一般的です。

●私立保育園の園長になる条件
私立保育園は、独自の基準で園長を選定していますが、クラス担任、リーダー、主任保育士など保育士としての経験を積み、大体10年以上の経験年数を目安に園長になるケースが多いです。

ただし私立の場合、家族経営の保育園では血縁者が後を継ぐなど、保育士資格がない人が園長（経営者）になるケースも見られます。私立の園長になるためには資格は必須でありませんが、最低限の保育の知識やスキルは必要なため、保育士である方が安心感は大きいでしょう。

園長は“経営者”であり“園長先生”として、主な仕事内容には以下が挙げられます。

・園の経営、資金管理
・施設・設備の安全管理
・給食の検食などの衛生管理
・事務作業・書類の最終チェック
・保育士のシフト管理・指導
・保育士や職員の募集・面接・採用
・クラス・子どもたちの把握
・保護者への対応（相談・クレーム対応など）
・行事・会議・保護者会の出席
・地域・行政・他園などの外部との交流　　など…

園長の仕事は多岐にわたります。園に関わる子どもたち、保護者、保育士、職員が安心できる保育環境を作るとともに、外部との連携も取りながら、健全に園を運営していくことが園長の役割です。

保育園のカラーは園長によって決まると言っても過言ではありません。

園長は経営者ではありますが、園長の仕事内容からも見えてくるように、園長に必要なのはカリスマ性などではないようです。何より、子どもたち・保護者・スタッフから慕われ、信頼のおける人柄であることが大切になるでしょう。

そのうえで、園のトップとしての強い熱意と覚悟、軸となるビジョンをしっかりと持っていることが重要です。内部・外部の人たちへの気配りや包容力、コミュニケーション能力、トラブルに対する冷静な判断力など、真のリーダーシップが求められます。　　

日々の子どもたちの成長を喜び、保護者の助けになりたいと多くの保育士は思っているでしょう。

そこからさらに、保育士として身に付けた知識と経験を活かし、若い保育士たちを育てていきたいなど、保育への高い志しを持っている人は園長にむいているのではないでしょうか？

そのような人は、自分の手で理想の保育を目指すやりがいも大きいはずです。園長は、当然責任やプレッシャーが大きい仕事ですが、子どもたちのイキイキと元気な姿、保護者の喜ぶ様子、スタッフもやりがいをもって働いている姿は、園長として大きな喜びになるでしょう。　

園長になりたいと頑張っていても、園の状況によってはほとんど昇格の可能性が低い場合もあるでしょう。まずは、自分の勤務先で園長になれる見込みがあるかどうかを判断してみることも必要です。

園長または園長候補の募集は少なくありません。近年は待機児童解消のために、新設の保育園も増えているため、オープニング保育園などは1つのチャンスと言えるでしょう。キャリアアップのためには情報収集が大切です。より昇格の可能性の高い職場への転職も検討してみてはいかがでしょうか？